知財コミュニケーション講師の新井信昭です。
大野晋著「日本語練習帳」によれば、
漢語は細かい言い分ができる、
それは二つの概念が一つにまとめられて一語となっているからだ、
とのこと。

では、これを「拒絶理由」の「拒絶」に当てはめてみます。
「拒」は、相手の要求を断ること。拒むことですね。
「絶」はたえること。
「拒」だけなら、「お気持ちは分かりますが、そこを何とか」とか言って、
やり方次第で、状況が変わる雰囲気があります。
では、「絶」はどうか?
「拒絶」以外にどのような言葉に使われているか見てみると、
絶命、絶滅、絶縁、廃絶、絶対...取り付く島もない、雰囲気が漂います。
「絶」が加わると、もうアウトのイメージしかありません。
これがイケない。
「拒絶理由」と言われた出願人や発明者は
ギョッとしてしまいます。
特許アレルギー源になりかねません。
「特許性のコメント」と呼ぶことを提案します。
これなら出願人や発明者も受け入れやすい。
「詳しく聞かせてくれ」という気になる。
知財を分かってもらおうとするなら、
聞く人の立場に立つ。
伝え方に工夫が必要ですね。
お読みいただき有難うございました。
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